予防接種法による健康被害救済制度に基づく申請の手続き

2001年、我が子が小学校の集団予防接種(BCG)で失敗されまして、被害者となりました。で、いろいろあって、最終的に決着したのは数年後のことでした。
この時の経験についてはかなりのボリュームで記録し、公開しておりましたが、子供が成人したところでいったん非公開にいたしました。
が、一番最後に書いた「以下の原稿」については内容が古くても、もしかしたらどこかの誰かの参考になるかもしれないので残そう、と判断いたしまして、このたびのこのブログ再開にともない、この青字の部分を加筆し、再度公開することにいたしました。


【医療費医療手当請求書の提出方法】

(予防接種法による健康被害救済制度に基づく申請の手続き)




予防接種で何らかの被害を受けた場合、被害者を救済する制度があります。
うちの子どもの場合は、接種による被害とは言っても、接種液の問題とかそういう事による被害ではなく医師のミスによる被害なのでこの制度を利用するというのは本来では筋違いなのですが、接種主体である「市」が逃げてしまい、何の補償もしてくださらないので、やむを得ずこの制度を利用しました。

手続きのためにはまず「医療費医療手当請求書」の書式を準備する必要があります。
この書式はふつう役所の担当課に行けばくれるはずですが、中には今回私が交渉した役所のように「そういうものの存在すら知らない」とか、
「予防接種運営委員会を開いてからでなければ渡さない」とか言って渡すことを拒む役所があるかもしれません。(私の交渉した自治体は、人口は24万人を超える大きな市でしたが、それでもそういうことを言ってのけますので)

 予防接種を考えるフォーラムでこのことを相談したとき、管理責任者である先生が厚生労働省に問い合わせてくださったのですが、
「『医療費・医療手当請求書』の用紙をわたさず、市町村の役所で『チェックしてから妥当と判断されたら用紙を交付する』というのは変で、
届けを出したい人に、とにかく用紙をわたして、記入してもらうということになっている」そうでした。
 以上のことは法制度で決められていることで、厚生労働省が「チェックしてから妥当と判断されたら用紙を交付する」よう通達を出したり指導したことは全くないそうです。
ただ、市町村によっては、副反応の報告書が出てから、用紙を交付しようとするところがあるかもしれないが、「副反応の報告書」は医師が提出するもので、被害者から出す「医療費・医療手当請求書」は別のものということだそうです。

 では、万一役所が書式をくれなかったらどうするかということですが、
この書式は市町村によって異なるという性質のものではないので、他の自治体のものを利用することが出来ます。
Googleなどで、「医療費医療手当請求書」という語を検索すると、複数の自治体のダウンロードできる書式がヒットしますから、それをプリントアウトして自分で書けるところは書き、あとはかかった医療機関に持って行って記入してもらってください。
その際留意すべきことは、医療費医療手当請求書は、診察を受けた医療機関ごとに1通ずつ作成する必要があるということです。それぞれに医療機関が発行した領収書を添付します。
 しかし、書類はいっぺんにそろわなくとも最低限のものであってもとにかく居住地の役所に早く提出するということが大切だと思いました。


手続きに必要だった他の書類などについて

・予防接種法施行令第4条第1項の医療に要した額の算定方法によって、実際に負担した医療費の他に、「医療手当」額を決定し医療費医療手当請求書に記入します。これは、提出後、役所で教えてくれました。

・医療費医療手当請求書を提出する際、予防接種済証の他に予診票が必要だと言われました。(通常、これは自治体が管理しているものなのですが、今回の場合よその自治体で接種したために必要になったようです。)

・今回の被害は「ケロイド」ですので患部の写真の提出も必要でした。(特に指示が無かったので普通の写真でよいのだと思いましたが、ここまでややこしくなってしまったこともあり、第三者に入っていただくためにカメラマンに依頼しました。患部のアップと肩に接種してあるということがはっきりわかるような写真を撮っていただきました。)

・「母子手帳の全ページにわたるコピー」の提出も求められました。生育過程で何らかの問題があったためにこういう結果になってしまったかもしれないという事を調査するためだそうでした。しかし、今回はあくまでも接種部位ミスによる事故なので、プライバシーの侵害に当たるということで、ツベルクリン判定とBCGに関わるページ以外の提出は拒否しました。

・住民票の謄本も提出しました。

・「同意書」を書きました。役所が直接医療機関に「診療録の写し」と「受診証明書」を請求するためのものです。個人で収集して提出するものかと思っていましたが役所がやるそうです。

ほか、受診証明に証明料がかかる場合は自己負担だということ、
追加の資料が必要になる場合もあること、
健康被害調査委員会を開くにあたっては委員の日程を調整するのに手間取るため時間がかかること、県を経由し国の審議会にかけ結果を得るためには相当の時間が必要なことが説明されました。




【予防接種被害調査委員会】

2003年7月末、医療費医療手当請求書の1通めを居住地の役場に提出した後、8月の上旬にはすべての書類がそろったため、規則によって予防接種被害調査委員会が開かれることになりました。「時間がかかる」とはきいていましたが、まず当初9月中に第1回目の委員会が開かれる予定になっていたものが、委員の都合がつかないという理由で10月7日まで延期されました。

町の担当者の話によると、予防接種被害調査委員会というものの性質は名称とは異なり国に提出する書類に不備がないかどうかチェックするだけの機関のようです。
「被害調査」というのは書類の収集という意味なんでしょうか。その委員会では、接種と被害の因果関係などについて判断することはなく、あくまでも書類の種類がそろっているかどうかだけを判断するというわけです。







【予防接種被害者健康手帳 】


 被害認定されたと連絡があってから10日たった日、再び役場から電話連絡が入りました。手続きのために認め印と、保護者の銀行口座の番号をもって来るようにとのことでした。 手続きというのは、予防接種被害者健康手帳というものを受け取ることと、請求した医療費医療手当をどこの口座に入金してもらうかということを連絡するということだけでした。


 予防接種被害者健康手帳は、こんな色をしていてちょうどハガキくらいの大きさです。
表紙には銀色の冷たい文字で「予防接種被害者健康手帳」と書いてあります。
表紙の裏にまず証明書があります。手書き(ボールペン)で氏名、生年月日、そして性別に丸印がついています。「上記の者は、予防接種を受けたことにより疾病にかかり、または障害の状態となったものであることを証明します。」だそうです。その下に日付と、厚生労働大臣の氏名がゴム印で押され、その横におきまりの「厚生労働大臣之印」(さすがに印刷ではなかった)が押してあります。

 接種した場所とか内容とかいろいろ書き込みのしてある全14ページのこの手帳、実は???な物でした。せっかくこんな手帳を手間暇かけて金かけて交付されたのですから、庶民の普通の感覚でいくと・・・たとえばこの手帳を提示すれば今後この件に関する医療が無料になるとかそう、ちょうど、乳幼児の医療費が無料になるカードのように利用するのかと思ったのですが、全く違うのです。手帳にしっかりと書いてあるのは、・・・話し言葉になおすと(余計にイライラしますが)こんなものです。

「医療機関の方へ。
この人はー、接種で被害を受けたと認定されてる人なんでー、
受診証明が必要だって言ったらー書いてあげてねー☆
そうしないとこの人、医療費請求できないから~。」

そうなんです。この手帳は、「この人被害者だよ」ということを証明する以外のなにものでもなく、医療費はとにかく自分でまず支払って、その後で受診証明書などを医療機関で書いてもらいその都度(まあ、ある程度まとめてでしょうが)例の「医療費医療手当請求書」を役場に出しに行くわけです。
ウチの場合はケロイドだし私が動けるから良いですが・・・。何だか変な話だなあと思ってしまいました。こういう経験をすると、この国の冷たさをつくづく感じます。
・・・役所の冷たさの隙間を埋めるボランティアが出来ないかと真剣に考えてしまいます。

 この手帳の期限は平成18年3月31日です。手帳には「3年ごとの更新」と記されていますが、役場の担当者は別のことを私に言いました。

「ケロイドだから3年で終わりです。3年たってもダメなようでしたら
また最初から手続きをしてもらいます。」だそうです。言い換えると、3年間だけ被害者なんだそうです。
 治療の際医師に言われたのは「大人になったら手術を」ということでした。
3年後ではまだ6年生。それまでに治るんでしょうか。
「3年すれば治ると国は考えている」と役場の人は言ったのですが、
だったらそんなに素晴らしい治し方をついでに教えてくれればいいのに・・・と思いました。
 
・・・3年間せっせとお医者さんに通って無理矢理「医療手当」をいただけばよいのでしょうか。
(医療手当は、「お医者さんにかかった月」に限り、交通費などにあてるため
3万4千幾ばくかが支給されるそうです。)とは言え、使える薬はないし、効く薬もないって言われているのでいくら何でも意味のない通院なんかするつもりはないのですが、馬鹿正直すぎますか?将来の手術にいくらかかるのかしれませんが・・・、まったく、機械的な制度ですよね。ちなみに、今回の手続きで振り込んでいただけるお金は、支払った医療費の全額と医療手当2カ月分です。なぜ2カ月かというと、初診して、経過を見て、というのが去年の3月中にありまして、それがまず1カ月です。
そして、通院の必要がないというので、しばらく通院せず医療費医療手当申請書を提出するために書類を書いていただくために通院したのが別の月ということで合計2カ月。この分にもう少し足せば手術できるかな・・・。

(後日追記:手術なんてしても治らないそうなので余計なことはしないことにしました)



 ところで、手帳をいただくとき、ためしに居住地役場の担当者にこんな事を聞いてみました。
「もしこういう接種事故がこの町で起こったらどういう対応をしますか?」
それに対して町の担当者は、
「どうしたらよいかはわからないし対応のしようがない」と答えました。
そして、
「何しろこの手帳も町として初めてのことで、記入方法を県に問い合わせながら作成したくらいだ」
とも言っていました。
 私はとりあえず「そうですか」と聞き流すふりをしましたが、本当は、大変にムカついていました。
(他市が起こした事故とは言え、前例を体験したんだから
今後の万一の時の対応を決めておくのが普通だろ!)

事故を起こさない事は当然だけれど、万一そういうことがあった場合
どういう対応をするかということ、そうした事の大切さをもっともっと考えてほしい、つくづくそう思いました。
私たちは軽い障害で、命に別状なくこのような手続きをさせていただきましたが、予防接種により命を失ってしまった子どもたち、重い障害を持ってしまった子どもたち、そしてご家族の方たちが、これまで私たちが経験したゴタゴタを経験するなんて本当に許せない、再度そう思いました。

単純明快なBCGの接種部位ミスによるケロイド被害であったから認定もされたけれど、接種液の問題が原因の副作用では認定が大変に難しく、「どう考えても接種のせいだとしか言えない」としても認定されないで終わることがあるとも聞きます。被害者に二重三重の苦しみを与えるようなことが、けっして少なくない数報告されていること予防接種のこうした恐ろしい側面を子どもを持つ親である私たちはもっと知る必要があるし、そのことについてもっと怒らなければいけないと思います。

そして、予防接種を受けようと思ったときには今後はよく考えようと思います。
受けようとしているその接種は本当に必要なものか?
どのような副作用があるか?
副作用とその病気にかかった場合のリスクをはかりにかけたとき、
それでも予防接種を受ける必要があるか?・・・と。