今日は、「メリバの水」に登場したカデシュという地名が登場する聖書の箇所について調べてみました。
まずは日本聖書協会https://www.bible.or.jp/の「聖書本文検索」で、カデシュというキーワードで検索しました。(カデシュという語で検索すると「カデシュ・バルネア」も含まれてヒットしますが、今日はそれ以外の「カデシュ」についてピックアップします)
聖書協会共同訳には6つの書に含まれるという検索結果が出ます。カッコ内は数。
創世記(3)、民数記(8)、申命記(2)、士師記(2)、
詩編(1)、エゼキエル書(2)、
次に新共同訳で検索をかけると、サムエル記下があり7つの書に含まれているという検索結果が出ます。
創世記(3)、民数記(8)、申命記(2)、士師記(2)、
サムエル記下(1)、詩編(1)、エゼキエル書(2)
サムエル記下24章6節(新共同訳)
ギレアドに入って、ヘト人の地カデシュに至り、ダン・ヤアンからシドンに回った。
サムエル記下24章6節(聖書協会共同訳)
それから彼らはギルアドに入り、タフティム・ホドシの地に行き、ダン・ヤアンを経てシドンに回った。
BIBLE HUBでこの箇所をヘブライ語聖書を見ると
ויבאו הגלעדה ואל ארץ תחתים חדשי ויבאו דנה יען וסביב אל צידון׃
となっていてカデシュはなく、聖書協会共同訳でタフティム「ホドシ」とカタカナで表記されている部分ホドシChodshiを当時の解釈でヘト人の地「カデシュ」と読んだのでしょう。
ちなみに聖書協会共同訳でいうところのタフティム・ホドシは Strong's Hebrew8483. Tachtim Chodshiで、コンコルダンスによれば聖書にはたった一度しか登場しない地名であるようです。
次にBIBLE HUBで調べました。
6946. Qadesh קָדֵשׁ
https://biblehub.com/hebrew/6946.htm」
Englishman's Concordanceによると聖書には地名としてのこの語קָדֵשׁが18回登場ということで、聖書協会共同訳の回数と一致しています。(そりゃそうだw)
聖書協会共同訳聖書から該当箇所をひろって引用します。
創世記14章7節
彼らはそこから反転し、エン・ミシュパト、すなわちカデシュに来て、アマレク人の領土をすべて制圧し、ハツェツォン・タマルに住むアモリ人をも攻撃した。
この箇所からわかることはカデシュはエン・ミシュパト עֵ֤ין מִשְׁפָּט֙であるということです。
エンはעֵין 泉のことで、ミシュパトはמִשְׁפָּט 裁きのことです。なので、裁きの泉ということですね。
ちなみに、この箇所から次の16章に行くまでの間にある15章は神さまがアブラムと契約を結ばれる箇所です。
そして次にカデシュが現れるのは
創世記16章14節
そこでその井戸は、ベエル・ラハイ・ロイと呼ばれるようになった。それはカデシュとベレドの間にある。
イシュマエルについて主のみ使いがハガルに語りかけた場面ですね。
創世記20章1節
アブラハムはそこからネゲブの地に移って行き、カデシュとシュルの間に住んだ。ゲラルに滞在していたとき、
これはアブラハムがサラのことを妹だと言っていたためにアビメレクがサラを召しいれてしまい、そのことについて神さまがアビメレクの夢の中に現れて語られた、あのあたりです。
続いて民数記です。
民数記13章26節
パランの荒れ野のカデシュにいたモーセとアロン、およびイスラエル人の全会衆のもとに帰って来た。彼らは二人と全会衆に報告し、その地の果実を見せ、
この箇所は、各部族から各1人計12人がカナンの地に偵察に出かけたあたりのことですね。
で、次はメリバの水のあたりの箇所です。
民数記20章1節
イスラエル人の全会衆は、第一の月にツィンの荒れ野に入った。そして、民はカデシュにとどまった。ミリアムはそこで死に、その地に葬られた。
民数記20章14節
モーセはカデシュからエドムの王に使者を遣わした。「あなたの兄弟であるイスラエルはこう申しております。あなたは、私たちの上に降りかかった困難をすべてご存じでしょう。
民数記20章16節
私たちが主に叫び求めると、主は私たちの声を聞かれて御使いを遣わし、エジプトから導き出してくださいました。今、私たちは、あなたの領土の境に近いカデシュの町におります。
民数記20章22節
イスラエル人の全会衆はカデシュを旅立って、ホル山に着いた。
そして、次の27章の箇所は神さまがモーセの後継者として「ヨシュア」を選ばれた箇所です。
民数記27章14節
ツィンの荒れ野でこの会衆が争ったとき、あなたがたは私の命令に逆らい、あの水によって彼らの目の前で私を聖としなかったからだ。」これはツィンの荒れ野にあるカデシュのメリバの水のことである。
33章の二つの箇所は、主の御言葉に従ってモーセが出エジプト後の旅程を書き記したものです。
民数記33章36節
エツヨン・ゲベルを出発して、ツィンの荒れ野、すなわちカデシュに宿営した。
民数記33章37節
カデシュを出発して、エドムの地の端にあるホル山に宿営した。
続いて申命記。
申命記1章46節
こうして、あなたがたがカデシュにとどまった日々は長期に及んだ。
申命記32章51節
あなたがたがツィンの荒れ野にあるカデシュのメリバの水のほとりで私に背き、イスラエルの人々の間で私を聖としなかったからである。
そして士師記。
士師記11章16節
イスラエルはエジプトから上って来たとき、荒れ野を通って葦の海まで行き、カデシュにやって来た。
士師記11章17節
イスラエルはエドムの王に使者を送り、『あなたの地を通りたいのです』と頼んだが、エドムの王は聞き入れなかった。また、モアブの王にも使者を送ったが、彼も同意しなかったので、イスラエルはカデシュにとどまった。
さらに詩編
詩編29章8節
主の声は荒れ野をもだえさせ 主はカデシュの荒れ野をもだえさせる。
最後はエゼキエル書です。
エゼキエル書47章19節
南の端は、南に向かってタマルからカデシュのメリバの水まで、大海に注ぐ川に至る。これが南方、南の端である。
エゼキエル書48章28節
ガド族の境界に沿って、南側は南方に延びている。境界はタマルからカデシュのメリバの水を経て、さらに大海に向かう川に至る。
と、ここまで書いた後で、もう一つの「カデシュ」について書いておかねばなりません。
自分としてはカデシュは6946. Qadesh קָדֵשׁ https://biblehub.com/hebrew/6946.htm "sacred", a place in the desertということで良いイメージだったのですが、まったく同じ綴りと発音である「もう一つのカデシュ」がヘブライ語にはあるのだということを知りました。
6945. qadesh קָדֵשׁ https://biblehub.com/hebrew/6945.htm
これはa temple prostitute 神殿男娼
クフ、ダレット、シンの三文字で書き表されるヘブライ語の単語がStrong'sでは6942からスタートして
申命記23章18節
イスラエルの女は誰も、神殿娼婦になってはならない。またイスラエルの男は誰も、神殿男娼になってはならない。
なぜ、クフ、ダレット、シンの三文字で書き表されるヘブライ語で神殿男娼を表すようになったのか
この申命記の御言葉を読めば、また、当時の状況を察すれば、何となくわかるような気はしますが、そこに限ったことではない現代社会における問題についても
そういえば・・・
大淫婦バビロンって、淫婦。カデシュ?
バビロンってヘブライ語ではבָּבֶל
894. Babelですからバベルの塔のバベルと一緒です。
ヨハネは大淫婦バビロンに何をイメージしていたのでしょうか。
「大バビロン、淫らな女や地上の忌まわしい者たちの母」