心穏やかに居るということが、本当に難しい世の中です。
政治の問題にしても経済の問題にしても公衆衛生の問題にしても食糧問題にしても
そして、天変地異にしても
しかし、聖書は、私たちがこれらすべてのことにどう向き合えばよいのかということを、悠か昔から教えてくれています。
それは極めて単純なことです。
「静かに」している
ただそれだけのことです。
そんなことを心の片隅に置きながら
今日はヘブライ語聖書とギリシャ語聖書に登場する「静かに」と訳されている単語について学習しようと思います。
出エジプト記14章14節
主があなたたちのために戦われる。あなたたちは静かにしていなさい。(新共同訳)
Strong's Hebrew 2790 חָרַשׁ charash
Definition: to cut in, engrave, plow, devise
聖書中に74回登場
一番初めに登場するのは創世記24章21節
その間、僕は主がこの旅の目的をかなえてくださるかどうかを知ろうとして、黙って彼女を見つめていた。(新共同訳)
申命記27章9節
モーセは、レビ人である祭司と共に全イスラエルに向かって告げた。イスラエルよ、静かにして聞きなさい。あなたは今日、あなたの神、主の民とされた。(新共同訳)
Strong's Hebrew 5535 סָכַת sakath
Definition: to be silent
5535番はこの箇所にのみ登場する単語
列王記上19章12節
地震の後に火が起こった。しかし、火の中にも主はおられなかった。火の後に、静かにささやく声が聞こえた。(新共同訳)
Strong's Hebrew 1851 דַּק daq
Definition: thin, small, fine
聖書中に15回登場
一番初めに登場するのは創世記41章3節
すると、その後から、今度は醜い、やせ細った七頭の雌牛が川から上がって来て、岸辺にいる雌牛のそばに立った。(新共同訳)
ネヘミヤ記8章11節(1)
レビ人も民全員を静かにさせた。「静かにしなさい。今日は聖なる日だ。悲しんではならない。」(新共同訳)
Strong's Hebrew 2814 חָשָׁה chashah
Definition: to be silent, inactive, or still
聖書中に15回登場
一番初めに登場するのは士師記18章9節
五人は答えた。「彼らに向かって攻め上ろう。我々はその土地を見たが、それは非常に優れていた。あなたたちは黙っているが、ためらわずに出発し、あの土地を手に入れて来るべきだ。(新共同訳)
ネヘミヤ記8章11節(2)
レビ人も民全員を静かにさせた。「静かにしなさい。今日は聖なる日だ。悲しんではならない。」(新共同訳)
Strong's Hebrew 2013 הָסָה has
Definition: hush! keep silence!
聖書中に8回登場
一番初めに登場するのは民数記13章30節
カレブは民を静め、モーセに向かって進言した。「断然上って行くべきです。そこを占領しましょう。必ず勝てます。」(新共同訳)
詩編94編13節
その人は苦難の襲うときにも静かに待ちます。神に逆らう者には、滅びの穴が掘られています。(新共同訳)
Strong's Hebrew 8252 שָׁקַט shaqat
Definition: to be quiet or undisturbed
聖書中に8回登場
一番初めに登場するのはヨシュア記11章23節
ヨシュアはこうして、この地方全域を獲得し、すべて主がモーセに仰せになったとおりになった。ヨシュアは、それをイスラエルに各部族の配分に従って嗣業の土地として与えた。この地方の戦いは、こうして終わった。(新共同訳)
ヨシュア記の「戦いは・・・終わった」という日本語表現は英語の聖書ではhad rest from war
8252番に日本語の「静かに」を充てているほかの箇所としては
イザヤ書7章4節
彼に言いなさい。落ち着いて、静かにしていなさい。恐れることはない。アラムを率いるレツィンとレマルヤの子が激しても、この二つの燃え残ってくすぶる切り株のゆえに心を弱くしてはならない。(新共同訳)
イザヤ書30章15節
まことに、イスラエルの聖なる方 わが主なる神は、こう言われた。「お前たちは、立ち帰って 静かにしているならば救われる。安らかに信頼していることにこそ力がある」と。しかし、お前たちはそれを望まなかった。(新共同訳)
Strong's Hebrew 5183 נַחַת Nachath
Definition: quietness, rest
聖書中に8回登場
一番初めに登場するのはヨブ記17章16節
それはことごとく陰府に落ちた。すべては塵の上に横たわっている。
新共同訳のヨブ記17章16節・・・・用例としてよくわからないのでもう二箇所5183番を使っている箇所を引用します。
主は威厳ある声を聞かせ 荒れ狂う怒り、焼き尽くす火の炎 打ちつける雨と石のような雹と共に 御腕を振り下ろし、それを示される。イザヤ書30章30節(新共同訳)
知恵ある人が無知な者と裁きの座で対すると 無知な者は怒り、嘲笑い、静まることがない。箴言29章9節(新共同訳)
あれでしょうか、基本的には上から下に下すとか落ちるというニュアンスがあり、英語で考えると、highからlow down・・・あ、日本語でも「落ち」着くという言葉がありました。。。ハイテンションであるのをクールダウンさせる、鎮静させるということでしょうか
エゼキエル書32章14節
そのとき、わたしはその水を澄ませ 流れを油のように静かに流れさせると 主なる神は言われる。(新共同訳)
Strong's Hebrew 8257 שָׁקַע shaqa
Definition: to sink, sink down
聖書中に6回登場
一番初めに登場するのは民数記11章2節
民はモーセに助けを求めて叫びをあげた。モーセが主に祈ると、火は鎮まった。(新共同訳)
エゼキエル書32章14節はヘブライ語聖書では「(水を)澄ませ」という言葉と「静かに」という言葉がそれぞれ独立してあるわけではなく、水と川を油のように流した結果としてsink downすると表現していて、つまり、油のようにとろりとゆっくりとしたスピードで流れた結果水が澄むというと表現している。…嵐のときの濁流が清流になるようなイメージでしょうか
ハバクク書3章16節
それを聞いて、わたしの内臓は震え その響きに、唇はわなないた。腐敗はわたしの骨に及び わたしの立っているところは揺れ動いた。わたしは静かに待つ 我々に攻めかかる民に 苦しみの日が臨むのを。(新共同訳)
Strong's Hebrew 5117 נוּחַ nuach
Definition: to rest
聖書中には67回登場
一番初めに登場するのは創世記8章4節
第七の月の十七日に箱舟はアララト山の上に止まった。(新共同訳)
「静かにする」という言葉をいろいろ調べながら思い出されたのは
安息日
Strong's Hebrew 7673 שָׁבַת shabath
Definition: to cease, desist, rest
シンプルであるけれども非常に奥深い「教え」の一丁目一番地。
そして、とてもとても容易であるはずなのになぜか守ることが難しいという不思議。
止まれない止まらない休まない落ち着かない人間。
止まって休んで落ち着けば良いものを。
続いて新約聖書
使徒言行録21章40節
千人隊長が許可したので、パウロは階段の上に立ち、民衆を手で制した。すっかり静かになったとき、パウロはヘブライ語で話し始めた。(新共同訳)
Strong's Greek 4602 σιγή sigé
Definition: silence
4602番は聖書に2回登場します。
もう一回はヨハネの黙示録8章1節
小羊が第七の封印を開いたとき、天は半時間ほど沈黙に包まれた。(新共同訳)
使徒言行録22章2節
パウロがヘブライ語で話すのを聞いて、人々はますます静かになった。パウロは言った。(新共同訳)
Strong's Greek 2271 ἡσυχία hésuchia
Definition: stillness
2271番は聖書に4回登場します。
他には
テサロニケの信徒への手紙二3章12節
そのような者たちに、わたしたちは主イエス・キリストに結ばれた者として命じ、勧めます。自分で得たパンを食べるように、落ち着いて仕事をしなさい。(新共同訳)
テモテへの手紙一2章11節
婦人は、静かに、全く従順に学ぶべきです。(新共同訳)
テモテへの手紙一2章12節
婦人が教えたり、男の上に立ったりするのを、わたしは許しません。むしろ、静かにしているべきです。(新共同訳)
ヨハネの黙示録6章11節
すると、その一人一人に、白い衣が与えられ、また、自分たちと同じように殺されようとしている兄弟であり、仲間の僕である者たちの数が満ちるまで、なお、しばらく静かに待つようにと告げられた。(新共同訳)
Strong's Greek 373 ἀναπαύω anapauó
Definition: to give rest, give intermission from labor, by implication refresh
373番は聖書に12回登場します。
マタイによる福音書11章28節
疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。(新共同訳)
マタイによる福音書26章45節
それから、弟子たちのところに戻って来て言われた。「あなたがたはまだ眠っている。休んでいる。時が近づいた。人の子は罪人たちの手に引き渡される。(新共同訳)
マルコによる福音書6章31節
イエスは、「さあ、あなたがただけで人里離れた所へ行って、しばらく休むがよい」と言われた。出入りする人が多くて、食事をする暇もなかったからである。(新共同訳)
マルコによる福音書14章41節
イエスは三度目に戻って来て言われた。「あなたがたはまだ眠っている。休んでいる。もうこれでいい。時が来た。人の子は罪人たちの手に引き渡される。(新共同訳)
ルカによる福音書12章19節
こう自分に言ってやるのだ。「さあ、これから先何年も生きて行くだけの蓄えができたぞ。ひと休みして、食べたり飲んだりして楽しめ」と。(新共同訳)
コリントの信徒への手紙一16章18節
わたしとあなたがたとを元気づけてくれたのです。このような人たちを重んじてください。(新共同訳)
コリントの信徒への手紙二7章13節
こういうわけでわたしたちは慰められたのです。この慰めに加えて、テトスの喜ぶさまを見て、わたしたちはいっそう喜びました。彼の心があなたがた一同のお陰で元気づけられたからです。(新共同訳)
フィレモンへの手紙7節
兄弟よ、わたしはあなたの愛から大きな喜びと慰めを得ました。聖なる者たちの心があなたのお陰で元気づけられたからです。(新共同訳)
フィレモンへの手紙20節
そうです。兄弟よ、主によって、あなたから喜ばせてもらいたい。キリストによって、わたしの心を元気づけてください。(新共同訳)
ペトロの手紙一4章14節
あなたがたはキリストの名のために非難されるなら、幸いです。栄光の霊、すなわち神の霊が、あなたがたの上にとどまってくださるからです。(新共同訳)
(新共同訳聖書における該当箇所がよくわからないのでNASBも引用します↓)
If you are reviled for the name of Christ, you are blessed, because the Spirit of glory and of God rests on you.1 Peter 4:14NASB
ヨハネの黙示録14章13節
また、わたしは天からこう告げる声を聞いた。「書き記せ。『今から後、主に結ばれて死ぬ人は幸いである』と。」“霊”も言う。「然り。彼らは労苦を解かれて、安らぎを得る。その行いが報われるからである。」(新共同訳)