イザヤ書8章を読んでいました。
1節にある「マヘル・シャラル・ハシ・バズ」
מַהֵר שָׁלָל חָשׁ בַּז
マヘルは מַהֵר Strong's Hebrew 4118 hastening, speedy, 急いでする
シャラルは שָׁלָל Strong's Hebrew 7998 plunder, booty 略奪、強奪
ハシは חוּשׁ Strong's Hebrew 2363 make haste 手早くする
バズは בּז Strong's Hebrew 957 robbery, booty 強盗、強奪
で、新共同訳の本文にあるように、「分捕りは早く、略奪は速やかに来る」という意味になる。
イザヤ書の8章という箇所は、興味をひかれる章です。固有名詞として翻訳聖書の中に「原語の音のまま」残される、「マヘル・シャラル・ハシ・バズ」や「インマヌエル」という言葉がある一方、
「この民はゆるやかに流れるシロアの水を拒み レツィンとレマルヤの子のゆえにくずおれる。」
イザヤ書8章6節 (新共同訳)
「シロア」(新改訳聖書では「シロアハ」)
この言葉はヨハネによる福音書9章7節、11節に出てくる「シロアム」でもあるわけですが、(シロアに水という意味のある文字メムが付いてシロアム?でしょうか?)
ヨハネによる福音書9章には「シロアム」という言葉について「遣わされた者」という意味だ、とわざわざ書いてあるのです。
旧約聖書中にはここにしか登場しない「シロア」という池、
しかしその名前が福音書に登場した時にはわざわざ意味まで書き添えられている。
シロアשלח は、Strong's Hebrew 7975で、
上ではここにしか登場しないと書きましたが、本当はネヘミヤ記3章15節と、このイザヤ書8章6節の二箇所に登場している言葉です。
ただ、同じ言葉ではありますが、ネヘミヤ記のところにある 口語訳でシラの池、新改訳ではシェラフの池というのはイザヤ8:6のシロア(シロアハ)の水のことではないようです。最新の翻訳聖書でもあえて別の音を充てて翻訳されていますので。
(新約聖書でシロアムという名前は、ヨハネによる福音書の9章7節、11節と、ルカ13章4節の「シロアムの塔」というところに登場します。)
さて、「遣わされた者」という意味だ、とわざわざ書きのこしたのがだれなのかは知りませんが、
BIBLE HUBで調べてみると、シロアの水はאת מי השלח と書いてあります。これは
את 通常は意味不明とされている語ですが、いつも言っているように、私個人としてこれは、「神さまの造られた付け加える必要のない完璧なものである」ということを示すと思っているエット(エト)
מי メイ 水
השלח アブラムがアブラハムになった時につけられたה(神さまのお名前でもある)に、シロアשלחが付いたものということになります。
で、Strongの7975だけを見るとシロアとはエルサレムにある貯水池の名前ですが、
同じ綴りの単語がありまして、
例えば詩篇104篇10節
あなたは泉を谷にわき出させ、
それを山々の間に流れさせ、
・・・「わき出させ」・・・わかりにくいので英語の聖書を引用しなおしますね。
Berean Standard Bibleより
He sends forth springs in the valleys; they flow between the mountains.
He sends forth springsというところに使われているsend
これがシロアというヘブライ語の綴りと同じשׁלחになっているのですね。
彼は「送る」前方へ泉を、の「送る」これがשׁלח Strong's Hebrew 7971
ただ、同じ綴りということだけで見てみると、Strong's Hebrew 7973のשׁלח は、歴代誌下23章10節などで「武器」と翻訳されている言葉です。ややこしくなるので今日は引用はしませんが、そういうこともあるので?「遣わされた者」という意味であるとの注釈をわざわざ付けたのでしょうか。
いや、
それよりも、やはり、ヨハネによる福音書の著者は、イエスさまのご生涯を描くにあたり、イザヤ書8章の預言を強く意識していたということなのでしょう。彼こそがイザヤ書で預言されていた方である、だからこそ、シロアムの池のエピソードを書いたのでありましょう。
そして忘れてはいけません、シロアムの池は仮庵の祭りのための水をくむ場所ですね!
ゼカリヤ書14章を思い出しますね。