2022年11月13日日曜日

「祝福」という言葉について(3)マタイ6章33節

先日書いた「祝福という言葉について(1)」という記事で私はこう書きました
祝福という言葉に「頂点とする」とか「1番の者とする」というニュアンスがあると考えると理解しやすいかと思います。
一方で「のろい」とは、「頂点以外」のどこか適当なところに、ということではなく、引きずりおろされて最後尾という厳しさが見られます。
こう書いてから思い出したのは
イエスさまのみ言葉、マタイによる福音書6章33節の「歌」
まず神の国と神の義とを求めなさい。(口語訳)

日本語の聖書で読むと、多くの聖書に「まず」としか書いてないので気付きにくいのですが、
昔よく歌っていたマタイ6章33節を歌にしたものの英語歌詞、
Seek ye first the kingdom of God and his righteousness
を思い出したのです。そういえばfirstという言葉が入っていたなあ、と。

BIBLE HUBで調べてみましたところ、どうもこの歌詞はKJVのようですね。

But seek ye first the kingdom of God and his righteousness and all these things shall be added unto you
せっかくなのでギリシャ語を見ました。
ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ 6:33 Greek NT: Greek Orthodox Church
ζητεῖτε δὲ πρῶτον τὴν βασιλείαν τοῦ Θεοῦ καὶ τὴν δικαιοσύνην αὐτοῦ, καὶ ταῦτα πάντα προστεθήσεται ὑμῖν.
先日の読み比べで少々思うところがあったので、今日はギリシャ正教のみ言葉を引用しました。
πρῶτονという言葉がfirstにあたる言葉です。
Strong's Greek 4412 próton です。

聖書には58回登場する言葉です。
で、マタイによる福音書で、ほかにはどんなところに登場しているか、ということですが、
いつも大量すぎるので今日はいくつかにしますが

5章24節 その供え物を祭壇の前に残しておき、まず行ってその兄弟と和解し、それから帰ってきて、供え物をささげることにしなさい。 

7章5節 偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。

8章21節 また弟子のひとりが言った、「主よ、まず、父を葬りに行かせて下さい」。




で、Strong's Greek 4412 prótonの語源は
Strong's Greek 4413の πρῶτος prótos だそうで、マタイによる福音書ではこんな感じで使われていました。
100箇所で使われているので、詳しくはご確認ください。

10章2節 十二使徒の名は、次のとおりである。まずペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、
12章45節 そこでまた出て行って、自分以上に悪い他の七つの霊を一緒に引き連れてきて中にはいり、そこに住み込む。そうすると、その人ののちの状態は初めよりももっと悪くなるのである。よこしまな今の時代も、このようになるであろう」。
19章30節 しかし、多くのの者はあとになり、あとの者はになるであろう。
Strong's Greek 4413の πρῶτος prótosは、firstとかbeforeという意味だけではなく、principalとか most importantという
感じで使われるようです。
そんなことを確認しつつマタイ19:30を読むと、

「あと」にあたる言葉はStrong's Greek 2078 ἔσχατος eschatos なので、
これはlastですから、
先の者が後になるというのは単純な順番の入れ替えではなく先頭が最後尾に行ってしまうという意味なので、
やはりここでも
申命記28章と同じく、かなり極端な話だったんだなあと理解できました。