2019年4月9日火曜日

【調べ学習】白い馬に乗っている者の冠(黙示録6章と黙示録19章)

小羊がその七つの封印の一つを解いた時、わたしが見ていると、四つの生き物の一つが、雷のような声で「きたれ」と呼ぶのを聞いた。そして見ていると、見よ、白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上にもなお勝利を得ようとして出かけた。
ヨハネの黙示録6章1~2節(口語訳)


日本の個人や教会のいろいろなサイトを見ていたら黙示録6章に出て来る白い馬に乗っている者について、本物のキリストだと言っている方と偽キリストだと言っている方がおられ、
特に何も考えることもなく読み過ごしていた「教会にも行かず年数だけ長い信者」の私は驚いてしまいました。
で、ヨハネの黙示録の19章に登場する白い馬に乗っている者が本物のキリストである、という点では共通していて、
論点は騎手の「冠」という言葉のギリシャ語と
あとは持ち物。
6章の人は鉄の杖ではなく弓を持っているのでニセモノだという話と、
あと真偽はともかく弓はあるのに矢はどこだ?と言っている方がいらっしゃったので
なんだかとても興味をひかれました。
なので、6章と19章の冠と6章の弓、または矢、鉄の杖について
自分でも調べてみることにしました。



まずはBIBLE HUBで調べてみました。
黙示録6章2節の冠についてはギリシャ語でστέφανος
https://biblehub.com/greek/4735.htm
stephanosというらしいのですが
(ステパノさんの名前に似てる)

BIBLE HUBで見られるEnglishman's Concordanceによれば
この言葉と派生語は
箇所と回数について引用させていただきますとこのように書かれていました。

*この項の口語訳聖書はhttp://bible.salterrae.net/ さまからコピペさせていただきました。

Matthew 27:29
27:29また、いばらで冠を編んでその頭にかぶらせ、右の手には葦の棒を持たせ、それからその前にひざまずき、嘲弄して、「ユダヤ人の王、ばんざい」と言った。

Mark 15:17
15:17そしてイエスに紫の衣を着せ、いばらの冠を編んでかぶらせ、

John 19:2
19:2兵卒たちは、いばらで冠をあんで、イエスの頭にかぶらせ、紫の上着を着せ、

John 19:5
19:5イエスはいばらの冠をかぶり、紫の上着を着たままで外へ出られると、ピラトは彼らに言った、「見よ、この人だ」。

1 Corinthians 9:25
9:25しかし、すべて競技をする者は、何ごとにも節制をする。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするが、わたしたちは朽ちない冠を得るためにそうするのである。

Philippians 4:1
4:1だから、わたしの愛し慕っている兄弟たちよ。わたしの喜びであり冠である愛する者たちよ。このように、主にあって堅く立ちなさい。

1 Thessalonians 2:19
2:19実際、わたしたちの主イエスの来臨にあたって、わたしたちの望みと喜びと誇の冠となるべき者は、あなたがたを外にして、だれがあるだろうか。

2 Timothy 4:8
4:8今や、義の冠がわたしを待っているばかりである。かの日には、公平な審判者である主が、それを授けて下さるであろう。わたしばかりではなく、主の出現を心から待ち望んでいたすべての人にも授けて下さるであろう。

James 1:12
1:12試錬を耐え忍ぶ人は、さいわいである。それを忍びとおしたなら、神を愛する者たちに約束されたいのちの冠を受けるであろう。

1 Peter 5:4
5:4そうすれば、大牧者が現れる時には、しぼむことのない栄光の冠を受けるであろう。

Revelation 2:10
2:10あなたの受けようとする苦しみを恐れてはならない。見よ、悪魔が、あなたがたのうちのある者をためすために、獄に入れようとしている。あなたがたは十日の間、苦難にあうであろう。死に至るまで忠実であれ。そうすれば、いのちの冠を与えよう。

Revelation 3:11
3:11わたしは、すぐに来る。あなたの冠がだれにも奪われないように、自分の持っているものを堅く守っていなさい。

Revelation 4:4
4:4また、御座のまわりには二十四の座があって、二十四人の長老が白い衣を身にまとい、頭に金の冠をかぶって、それらの座についていた。

Revelation 4:10
4:10二十四人の長老は、御座にいますかたのみまえにひれ伏し、世々限りなく生きておられるかたを拝み、彼らの冠を御座のまえに、投げ出して言った、

Revelation 6:2
6:2そして見ていると、見よ、白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上にもなお勝利を得ようとして出かけた。

Revelation 9:7
9:7これらのいなごは、出陣の用意のととのえられた馬によく似ており、その頭には金の冠のようなものをつけ、その顔は人間の顔のようであり、

Revelation 12:1
12:1また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。

Revelation 14:14
14:14また見ていると、見よ、白い雲があって、その雲の上に人の子のような者が座しており、頭には金の冠をいただき、手には鋭いかまを持っていた。

Strong's Greek 4735
18 Occurrences

στέφανοι — 1 Occ.
στέφανον — 10 Occ.
στέφανός — 5 Occ.
στεφάνους — 2 Occ.



続きまして、黙示録19章11~16節を口語訳聖書から引用します。

またわたしが見ていると、天が開かれ、見よ、そこに白い馬がいた。それに乗っているかたは、「忠実で真実な者」と呼ばれ、義によってさばき、また、戦うかたである。その目は燃える炎であり、その頭には多くの冠があった。また、彼以外にはだれも知らない名がその身にしるされていた。彼は血染めの衣をまとい、その名は「神の言」と呼ばれた。 そして、天の軍勢が、純白で、汚れのない麻布の衣を着て、白い馬に乗り、彼に従った。 その口からは、諸国民を打つために、鋭いつるぎが出ていた。彼は、鉄のつえをもって諸国民を治め、また、全能者なる神の激しい怒りの酒ぶねを踏む。その着物にも、そのももにも、「王の王、主の主」という名がしるされていた。
ヨハネの黙示録19章11~16節


そして今度は19章2節の冠についてBIBLE HUBで調べるとギリシャ語でδιαδήματα
https://biblehub.com/greek/1238.htm
diadémaというのだそうです。

BIBLE HUBで見られるEnglishman's Concordanceによれば
この言葉についてこのように書かれていました。

Revelation 12:3 
12:3また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。

Revelation 13:1 
13:1わたしはまた、一匹の獣が海から上って来るのを見た。それには角が十本、頭が七つあり、それらの角には十の冠があって、頭には神を汚す名がついていた。

Revelation 19:12 
19:12その目は燃える炎であり、その頭には多くの冠があった。また、彼以外にはだれも知らない名がその身にしるされていた。

Strong's Greek 1238
3 Occurrences

διαδήματα — 3 Occ.

 
 




調べながらこんな顔になってしまったワタクシ→( ̄▽ ̄;)
どちらの言葉も良い意味にも悪い意味にも使われている気がしたからです。
stephanosという言葉で表現されている冠が、ネットのあちこちで言われているほど悪い意味にも感じられないし
diadémaという言葉で表現されている冠も、龍と獣のせいで言われているほど良い感じもしない(笑)


というわけで、次は弓です。
6章2節の弓はギリシャ語でτόξον
https://biblehub.com/greek/5115.htm
toxonというのだそうです。
BIBLE HUBで見られるEnglishman's Concordanceによれば
この言葉は新約聖書中では「ここだけに使われている」言葉だそうです。

なんてことだ!っていう感じ。

でも思いつきました。

旧約聖書の中で弓という言葉が出て来るところはないのだろうかと。
τόξονという語はなくても、「弓」ならばあるのでは…と思ったわけです。

今度は日本聖書協会の聖書本文検索http://www.bible.or.jp/read/vers_search.html

新共同訳で検索してみました。

すると弓という言葉はたくさんあり
創世記だけでも
創世記21章20節、創世記27章3節、創世記48章22節、創世記49章23節、創世記49章24節
ということで5カ所。
多すぎてすべて引用できませんので、
気になった箇所を引用させていただきます。

ハバクク書3章9節
あなたは弓の覆いを取り払い 言葉の矢で誓いを果たされる。〔セラ
あなたは奔流を起こして地をえぐられる。 (新共同訳)


このハバクク書3章が特に興味深かった点は、「言葉の矢」ということば。
黙示録6章のところの白い馬に乗っている者は矢を持っていないという話がありましたが、矢が言葉なのであればいわゆる矢は持っていなくて当然ということになりますから。
ただし、ここが矢という言葉であると認識したのは新共同訳を読むようになってからで、新改訳を読んでいるときには矢と訳されてはいなかったし、それどころか「ことばの杖の誓い」と訳されていたのでそもそも???という感じでした。言葉の矢という表現が適切なのかそうでないのか語学に疎い素人としては少々気になります。
ただ、BIBLE HUBで調べるとここはמַטּ֖וֹת
https://biblehub.com/hebrew/mattot_4294.htm
で、maṭ·ṭō·wṯというのはエゼキエル書19章11節でも使われていて、そこでは新共同訳聖書は「杖となる強い枝」と言うように訳されています。で、そのほかの箇所で使われているmaṭ·ṭō·wṯの英語訳として「tribes」があてられているところを見ると、生物分類的な発想で行くと要するに枝分かれしたみたいな感じなのかしら、という気がしたので、
ことばの杖(の誓い)も言葉の矢も、ことばが木の枝のような棒になっているということのような気がしますから、弓につがえるものという観点で分類すれば矢と言っちゃって良いのかもしれないですよね。

とりあえず矢について日本語の聖書検索してみました。
「言葉の矢」のような、矢としての形がなくてもOKな矢があるかしら、ということで。
その前に、一応、そもそも神さまは弓矢を使うのか(笑)という観点で「弓」を検索した時にチェックして見ておりましたが
けっこうな頻度で弓矢をお用いになられていることが分かりました。
例えばこんな感じで。

ゼカリヤ書9章14節
主は彼らの前に現れ その矢は稲光のように飛ぶ。主なる神は角笛を響き渡らせ 南からの暴風と共に進まれる。 (新共同訳)


以下引用した日本語の聖句は新共同訳聖書から

さて、それでは矢ではない矢について上のハバクク書以外で書かれている箇所です。
詩編64編4節
彼らは舌を鋭い剣とし 毒を含む言葉を矢としてつがえ
詩編127編4節
若くて生んだ子らは、勇士の手の中の矢。
イザヤ書49章2節
わたしの口を鋭い剣として御手の陰に置き わたしを尖らせた矢として矢筒の中に隠して
エレミヤ書9章7節
彼らの舌は人を殺す矢 その口は欺いて語る。隣人に平和を約束していても その心の中では、陥れようとたくらんでいる。
エゼキエル書5章16節
わたしは滅びに定められた者に対して悲惨な飢えの矢を放つ。お前たちを滅ぼすためにそれを放つとき、わたしは飢えをますますひどくし、パンをつるして蓄える棒を折る。


さて、次に「鉄の杖」という言葉を探すことにしました。
これについても日本聖書協会の聖書本文検索を利用し、新共同訳聖書の旧新約全体で鉄の杖という語はどこに出て来るのかということを調べました。
http://www.bible.or.jp/read/vers_search.html

ヨハネの黙示録では以下の三カ所で鉄の杖という表現が使われていますが、これも弓と同じで黙示録以外の新約聖書にはない表現です。

ヨハネの黙示録2章27節
彼は鉄の杖をもって彼らを治める、 土の器を打ち砕くように。
ヨハネの黙示録12章5節
女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖ですべての国民を治めることになっていた。子は神のもとへ、その玉座へ引き上げられた。
ヨハネの黙示録19章15節
この方の口からは、鋭い剣が出ている。諸国の民をそれで打ち倒すのである。また、自ら鉄の杖で彼らを治める。この方はぶどう酒の搾り桶を踏むが、これには全能者である神の激しい怒りが込められている。 


なので、旧約聖書ではどうなっているのか調べたところ、イエスさまに関する預言として詩編のところにありました。

詩編2編9節
お前は鉄の杖で彼らを打ち 陶工が器を砕くように砕く。」




最後に、「口、剣」というキーワードで日本聖書協会の聖書本文検索をしてみました。
これは、ヨハネの黙示録19章の白い馬に乗っている者の口にはするどい剣が出ていると書かれているからです。

ヨハネの黙示録19章15節
この方の口からは、鋭い剣が出ている。諸国の民をそれで打ち倒すのである。また、自ら鉄の杖で彼らを治める。この方はぶどう酒の搾り桶を踏むが、これには全能者である神の激しい怒りが込められている。
ヨハネの黙示録19章21節
残りの者どもは、馬に乗っている方の口から出ている剣で殺され、すべての鳥は、彼らの肉を飽きるほど食べた。



検索した結果はこんな感じになりました。

イザヤ書49章2節
わたしの口を鋭い剣として御手の陰に置き わたしを尖らせた矢として矢筒の中に隠して

ヨハネの黙示録1章16節
右の手に七つの星を持ち、口からは鋭い両刃の剣が出て、顔は強く照り輝く太陽のようであった。

ヨハネの黙示録2章16節
だから、悔い改めよ。さもなければ、すぐにあなたのところへ行って、わたしの口の剣でその者どもと戦おう。


イザヤ書49章2節は上の「矢」のところでも引用した箇所です。