2012年3月30日金曜日

野生鳥獣肉の放射性物質測定結果を見て

 群馬県内で捕獲した野生鳥獣肉の放射性物質を測定した結果、新基準値(100ベクレル/kg)を超えたものが36検体確認されたのだそうだ。

http://www.pref.gunma.jp/houdou/e2400022.htmlリンク切れ

この群馬県の発表についていろいろな感想を持つ方がおられると思う。
たとえば、
「あー500ベクレルは超えてないじゃない。よかったね。」
「でも新基準だと商品にできなくなっちゃうんだ。」

今朝の日テレの番組(ZIP)を見ていても漁業従事者の方が新基準値のせいで出荷できなくなってしまった…と、あたかも新基準値が悪いような口調で言っておりましたし。


まあ、誰が何と言おうと言論の自由。そうです、ここは日本です。
3.11以降何となく言論の自由に暗雲が立ちこめている気はいたしますが、
日本国憲法では言論の自由が保障されていますからね。

ということで私もひとこと。

もしも私が、捕獲されたイノシシのように、
上のリンク先に書かれている「その辺りで自然に育ち収穫された物」によって
私の空腹の全てを満たしていたならば、
そして、フガフガと空気を吸い、
何にも考えないでノドを潤していたならば
今ごろ私の肉も100ベクレルは超えてるってことなんだ




2012年3月27日火曜日

最近話題の徳島県庁HP上での問答

最近話題の徳島県庁HP上での問答
法と規則に基づいて業務を行う役所ならば本当は誰もがこう言いたいのだと思います。
義理だとか人情だとか、上からの圧力だとかしがらみがなければきっと群馬県だって
…群馬県だって…ね。
群馬県民は「回答」必読。
http://www.pref.tokushima.jp/governor/opinion/form/652


ご意見
登録・更新日:2012-03-15
60歳 男性

タイトル:放射線が怖い? いいえ本当に怖いのは無知から来る恐怖


東北がんばれ!!それってただ言葉だけだったのか?東北の瓦礫は今だ5%しか処理されていない。東京、山形県を除く日本全国の道府県そして市民が瓦礫搬入を拒んで
いるからだ。ただ放射能が怖いと言う無知から来る身勝手な言い分で、マスコミの垂れ流した風評を真に受けて、自分から勉強もせず大きな声で醜い感情を露わにして反対している人々よ、恥を知れ!!
徳島県の市民は、自分だけ良ければいいって言う人間ばっかりなのか。声を大にして正義を叫ぶ人間はいないのか? 情け無い君たち東京を見習え。



回答
【環境整備課からの回答】
貴重なご意見ありがとうございます。せっかくの機会でございますので、徳島県としての見解を述べさせていただきます。

このたびの東日本大震災では,想定をはるかに超える大津波により膨大な量の災害廃棄物が発生しており,被災自治体だけでは処理しきれない量と考えられます。

こうしたことから,徳島県や県内のいくつかの市町村は,協力できる部分は協力したいという思いで,国に対し協力する姿勢を表明しておりました。

しかしながら,現行の法体制で想定していなかった放射能を帯びた震災がれきも発生していることから,その処理について,国においては1kgあたり8000ベクレルまでは全国において埋立処分できるといたしました。
(なお,徳島県においては,放射能を帯びた震災がれきは,国の責任で,国において処理すべきであると政策提言しております。)

 放射性物質については、封じ込め、拡散させないことが原則であり、その観点から、東日本大震災前は、IAEAの国際的な基準に基づき、放射性セシウム濃度が1kgあたり100ベクレルを超える場合は、特別な管理下に置かれ、低レベル放射性廃棄物処分場に封じ込めてきました。(クリアランス制度)

ところが、国においては、東日本大震災後、当初、福島県内限定の基準として出された8,000ベクレル(従来の基準の80倍)を、その十分な説明も根拠の明示もないまま、広域処理の基準にも転用いたしました。
(したがって、現在、原子力発電所の事業所内から出た廃棄物は、100ベクレルを超えれば、低レベル放射性廃棄物処分場で厳格に管理されているのに、事業所の外では、8000ベクレルまで、東京都をはじめとする東日本では埋立処分されております。)

 ひとつ、お考えいただきたいのは、この8000ベクレルという水準は国際的には低レベル放射性廃棄物として、厳格に管理されているということです。

 例えばフランスやドイツでは、低レベル放射性廃棄物処分場は、国内に1カ所だけであり、しかも鉱山の跡地など、放射性セシウム等が水に溶出して外部にでないように、地下水と接触しないように、注意深く保管されています。


また、群馬県伊勢崎市の処分場では1キロ当たり1800ベクレルという国の基準より、大幅に低い焼却灰を埋め立てていたにもかかわらず、大雨により放射性セシウムが水に溶け出し、排水基準を超えたという報道がございました。

徳島県としては、県民の安心・安全を何より重視しなければならないことから、一度、生活環境上に流出すれば、大きな影響のある放射性物質を含むがれきについて、十分な検討もなく受け入れることは難しいと考えております。

もちろん、放射能に汚染されていない廃棄物など、安全性が確認された廃棄物まで受け入れないということではありません。安全な瓦礫については協力したいという思いはございます。

ただ、瓦礫を処理する施設を県は保有していないため、受け入れについては、施設を有する各市町村及び県民の理解と同意が不可欠です。

われわれとしては国に対し、上記のような事柄に対する丁寧で明確な説明を求めているところであり、県民の理解が進めば、協力できる部分は協力していきたいと考えております。

2012年3月26日月曜日

寺田寅彦 津浪と人間

洗濯物を干しながらNHKラジオを聴いていたら、何かを朗読している。
「ああ、そうか『朗読の時間』だ」
以前は聴くこともあったけれど最近は余り聴くことのなかった番組だ。


「…災害直後時を移さず…詳細な調査をする。そうして周到な津浪災害予防案が考究され、発表され、その実行が奨励されるであろう」


私はてっきり東日本大震災にまつわる随筆が朗読されているものだと思った。
しかし、じーっと耳を傾けているうちに何か妙なことに気付いた。


「地震や津浪は新思想の流行などには委細かまわず、頑固に、保守的に執念深くやって来るのである。紀元前二十世紀にあったことが紀元二十世紀にも全く同じように行われるのである」

ん?紀元二十世紀?


そしてその短い番組の終わりに、作品のタイトルと作者がアナウンスされた。
「津浪と人間 寺田寅彦」

戦前にご活躍であった地球物理学者の寺田寅彦先生の作品だったのだ。
昭和8年の随筆に何か最近のことを感じるというというのは
…当時の先生がすごかったということだけでなく、おそらく我々がこんな(以下に引用するような)ものだからなのだろう。


三陸災害地を視察して帰った人の話を聞いた。ある地方では明治二十九年の災害記念碑を建てたが、それが今では二つに折れて倒れたままになってころがっており、碑文などは全く読めないそうである。またある地方では同様な碑を、山腹道路の傍で通行人の最もよく眼につく処に建てておいたが、その後新道が別に出来たために記念碑のある旧道は淋れてしまっているそうである。それからもう一つ意外な話は、地震があってから津浪の到着するまでに通例数十分かかるという平凡な科学的事実を知っている人が彼地方に非常に稀だということである。前の津浪に遭った人でも大抵そんなことは知らないそうである。


津浪と人間は以下のリンク先、青空文庫サイトで無料で読めます。
津浪と人間 http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/4668_13510.html


NHK朗読の時間2012年3月の放送予定 http://www.nhk.or.jp/r2bunka/roudoku/1203.html